インテリアのパリコレ。今年のクリエイターオブザイヤーは吉岡徳仁
ファッションの総本山がパリコレならば、そのインテリア版は「メゾン・エ・オブジェ(Maison&Objet)」であろう。毎年1月と9月の年に2回、世界中からインテリア・デザインの会社やブランドが一堂に会する見本市で、最新のデザイン事情や今後のトレンドなどを知ることができる。
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Hall 5B. Photo: Anne-Emmanuelle Thion
今回も例年通り、パリのシャルル・ド・ゴール空港近くのパリノール見本市会場にて、1月20日〜24日までの5日間開催された。広大なスペースには、家具、照明、テキスタイル、雑貨を含む、ホームファニッシングに関するすべてのものが集合し、とても1日では見きれないほど。
時を巡り、今、ここで皆さんご一緒に
竹村 京(たけむら・けい)の個展「見知らぬあなたへ」(タカ・イシイギャラリー・清澄白河)の開催とともに、ベルリンを拠点に活動するアーティストの想いが綴られたテキストがリリースされた。そこにあったのは、等身大で制作に向き合う作家自身の姿だった。
子供を産んだ時のことです。飽きる程の痛みを経てから、突然、だまされた!と思ったのです。産む行為は一番生に近い行為だと思って張り切っておりましたが、自分が一番死に近い場所に立たされているとそのとき知ったのです。あの地震の日。夫の仕事で一緒に東京の実家に帰って来て二日目のお昼過ぎでした。あんまり激しく家が揺れたので息子を抱きかかえて外に出ました。家の前の木は驚く程揺れていました。
毎日ものすごい破壊の映像がテレビを流れました。ベルリンに帰ってから沢山の被害の写真を見ました。ドイツの新聞や雑誌には亡くなった人の体の写真が壊れた街を背景に載っていました。写真には撮られた人の魂が何かしらこもっているとなんとなく信じている私には知らない人の体をそういう形で見ることは信じられないことでした。それまでは知っている人々の人生に興味がありましたが、あの瞬間を通ってから知らない人々の人生に興味がつながりました。ベルリンで近くの市場に行って、知らない人々が撮られた写真を集めました。知らない人たちが写真に撮った風景は1920年代から80年代までさまざまでしたが、なぜか私の知っている風景と重なりました。
― テキストは一部中略して引用
ベルリンの現在とアートの現在が出会う場所
クリスティアン・ボロス、おそらくベルリンのアート業界で彼の名前を知らぬものはいないだろう。広告代理店を営む彼は常に展覧会やオープニングに顔を出す有名人であり、何より現代アート作品を集めるコレクターとして知られている。1964年ポーランドに生まれたボロスが現代アートに魅了されコレクションを始めたのは1990年頃。以降多くの作品を購入していくなかで、2003年にコレクションを一般に公開することを決意し、それに相応しい展示スペースを見つけて購入した。もちろんごく普通のスペースではない。20世紀ベルリンの様々な歴史を刻み込んだ巨大なブンカー(防空要塞)である。
国家を再考する国際展
「La Biennale」と定冠詞をつけて呼ばれる、世界の国際展を代表する国際展「ヴェネツィア・ビエンナーレ」の第54回展が、2011年6月4日から11月27日まで開催された。
過去最大の89ヶ国が参加した今回のビエンナーレは一体何を残したのであろうか。そしてそれは、これまでと比べてどうだったのであろうか。
開拓者から、東京の "今" のカルチャーを伝える定住者へ
がらんとした空間から始まったことから「VACANT」(空の)と名付けられたスペース「ヴァカント」。結成当初は2人だけだったクリエイターチーム「NO IDEA」が東京の原宿ではじめたこのお店は、いい意味で何でもありなスペースだった。「空っぽの空間に、使う人が色をつけてくれればいい」そんな半ば実験的なコンセプトでスタートして3年、ヴァカントはレンタルスペースとして、カフェとして、文化発信基地として、クリエイターやミュージシャンたちに利用されてきた。カフェのメニューは不定期で、イスと机はイベントに合わせてすぐに模様替えできるように、折りたたみ式。外国の農家のストレージのような、ラフな印象を残す店内。そんなちょっとアウトサイダー感のあるところがヴァカントの魅力でもあり、以前はどことなく、移動を繰り返しながら生活をいとなんでいく開拓者の住居のような印象を与えていた。あまりひと所に根付かないように、いつでも旅に出れるように。

世界へと向けられて発信された前途有望なアーティストの祭典
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Preis der Nationalgalerie für junge Kunst, Hamburger Bahnhof in Berlin. Photo: David von Becker
ドイツには「若手アーティストのための国立美術館賞(Preis der Nationalgalerie für junge Kunst)」と呼ばれる若手アーティストに授与される賞がある。2年に1度贈られる賞の対象となるのは、国籍を問わず、ドイツで活動する40歳以下のアーティスト。賞にノミネートされたアーティストはベルリンのハンブルガーバンホフ現代美術館で作品が展示され、受賞者にはドイツの現代美術を対象とする賞としては最高額の40,000ユーロが授与されることになる。2000年から始まった歴史が浅い賞であるにも関わらず、過去にはオラファー・エリアソン、ダニエル・リヒター、ヨン・ボック、ティノ・セーガル、モニカ・ヴォンビチーニ、ダン・フォー、オマー・ファストといった現在国際的に活躍するアーティストが賞にノミネートされてきた。つまり本賞は今後確実に活躍するアーティストを取り上げるといっても過言ではなく、アート・ワールドの未来を先取りするものと言えるかもしれない。第6回目となる2011年の賞では多数の候補者の中から選考された結果、キティー・クラウス、クララ・リーデン、アンドロ・ウェクア、シプリアン・ガイヤールと国際色豊かな4人のアーティストが賞にノミネートされ、最終選考を経てシプリアン・ガイヤールにその栄誉は与えられた。今回はドイツから世界へと向けられて発信された前途有望なアーティストの紹介と共に、賞に合わせて開催された展覧会について報告をしたいと思う。
9・11テロ以降の物事の見方。
今も記憶に新しい「アメリカ同時多発テロ事件(9・11テロ)」から10年。節目となる2011年にベルリンでは多数の9・11テロに関連する展覧会が開催されている。多くの展覧会が直接「テロ」や「戦争」や「暴力」を扱い、テロに傷ついた人々の痛ましい姿や暴力によって荒廃する社会を表すなかで、ノイエ・ナショナルギャラリーで開催されたタリン・サイモンの個展は全く別の観点を写し出していた。そこでは「テロ」などを直接扱わなかったにも関わらず、9・11テロ以降に向き合うべきものを考えさせる印象深い展示となっていた。
「身体の神話」「イメージの神話」「技術の神話」
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'Moving Target' Ballet National de Marseille © Olivier Houeix
映画祭で有名なフランスのカンヌにて、11月22日〜27日までの5日間、第18回となるカンヌ国際ダンスフェスティバルが開催された。芸術監督のフレデリック・フラマンドが設定したテーマは「新しい神話」。「身体の神話」「イメージの神話」「技術の神話」の3つを軸として、このハイテクノロジーの時代における、身体についての疑問を投げかけた。そして、これは2011年だけではなく2013年のフェスティバルでも同じテーマが引き継がれる。
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'New Work' LA LA LA Human Steps © Olivier Houeix
フェスティバルに参加しているカンパニー・振付家の神話に対するアプローチは様々だ。バレエを現代風にアレンジしたティエリ・ティウ・ニアンやカンパニー・エディ・マーレム、バレエの技術面をこの上なく追求したラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップスはフランスで初めてとなる「新作」を公演。カンパニー設立30周年を記念したこの作品は、光と陰のコントラスト、そこに浮かび上がるシルエット、身体を美しく見せる方法が考え尽くされている。もちろん、ラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップスの持ち味であるテクニックも十分に披露された。
絵画から空間へ。
北海道札幌を拠点に、場との共鳴を求める作品づくりを行う美術家・澁谷俊彦。冬や雪、大地と自然、雪国ならではの新しいアート表現に意欲的挑み続ける数少ない作家のひとりだ。
クロスホテル札幌で開催される展覧会「MYSTIQUES」(ミスティークス)への参加や、札幌芸術の森での野外展示、モエレ沼公園で行われる「スノースケープモエレ」での展示など、澁谷氏の作品が多くの場所で楽しめる冬の季節が北海道にやってくる。
クロスホテル札幌での展示を前に澁谷氏にお話を伺った。

まずはじめに自己紹介をお願いします。
空に浮かぶ未来都市の姿
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Tomás Saraceno Cloud Cities, 2011. Installation view at Hamburger Bahnhof. Photo: Tomás Saraceno
現在ハンブルガーバンホフ現代美術館ではトマス・サラセーノによる巨大なインスタレーション作品が展示さている。かつて駅のプラットホームだった広々としたホールにはシャボン玉のような大小様々なバルーンが幾つか浮かんでいるのが見える。美しい光が差し込むホールに足を踏み入れて作品に近付けば、それが浮かんでいるのではなく、クモの巣のように張りめぐらされた紐によって引き上げられているのに気付く。目の前には現実世界ではありえないような幻想的な空間が広がる。しかしこの美しいトマス・サラセーノのインスタレーション作品は見る者を幻想的な世界に誘うのではなく現実的な世界に誘い、都市の在り方を考えさせる展示となっているのだ。
五感を揺さぶる衝撃、魂を満たす至福。
コンテンポラリーダンスにさほど馴染みがない人でも、ピナ・バウシュという名前は耳にしたことがあるかもしれない。彼女は、世界で最も知られた振付家・ダンサーのひとりであり、その革新的なスタイルで、コンテンポラリーダンス界に大きな影響をもたらした。
「Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」は2009年に惜しくも急死したピナ・バウシュについてのドキュメンタリー映画だ。
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デジタル・フィルム・フェスティバル「DOTMOV」、世界各地で上映開始!
DOTMOV」は、未知なる才能を持ったクリエイター発掘と作品紹介の機会の創出を目的に開催されるデジタル・フィルム・フェスティバル。世界中から作品募集を受け付け、寄せられた作品は、ゲストクリエイターにより優秀作品を選出、ウェブサイトでの公開に加え、2011年11月より国内外の会場で上映します。今年集まった作品総数は、世界18カ国から208作品。

タイポグラフィーとカリグラフィー
クロスホテル札幌で、札幌を拠点に活動するグラフィックユニット「ワビサビ」の新作展「BLACK BEAUTY – タイポグラフィーとカリグラフィー –」が開催されている。これは同ホテルと同じく札幌を拠点としている本誌SHIFTとのコラボレーションによるアートプロジェクトで、札幌及び北海道のアートをホテルを媒体に発信していこうという試み。3ケ月ごとに展示を入れ替え、年4回、1年間に渡り展開するプロジェクトの第2弾だ。
現代アートコレクターの家を訪れたら
2011年夏、東京・三宿に同時オープンした アートスペース「CUPSULE」(カプセル)とカフェ「SUNDAY」(サンデー)。この二つの新しいスポットは、居心地良く過ごせるスペースでありながら、現代アートコレクターのコレクションに触れられる場でもある。
店内奥の展示ルームは、2〜3ヶ月ごとに展示が入れ替えられる。壁面の絵画は左から田中功起、金氏徹平作品。植物のプランターには、ロケットの先端部品を作ることで知られる北嶋絞製作所製のものを使用している。
DIESEL HOME COLLECTION INSTALATION PROJECT
ディーゼルらしいロックでシックなホームコレクションラインと空間デザイナーや建築家とのコラボレーション企画である「DIESEL HOME COLLECTION INSTALLATION PROJECT」。1年の展示期間中3ヶ月毎を目安にアップデートされる。その第一弾が、2011年8月20日より、東京・渋谷のDIESEL SHIBUYAで始まった。このプロジェクトのトップバッターは、東京とシアトルを拠点に活動する、建築デザインチーム「KEIKO+MANABU」(ケイコ・プラス・マナブ)だ。
「新しいシルエットの模索」、「旅」、「清らかさや前向きさが現れた衣服」
季節外れの「インディアン・サマー」と呼ばれる酷暑のなか、パリ・ファッションウィークSS12は開催された。
今回、いくつかのブランドのコレクションを拝見し、そこから共通する言葉を並べ、自分が赴いたショーやプレゼンテーションを紹介していきたい。パズルを組み立てていくような気持ちで、このレポートを読んで頂ければ嬉しい。
「新しいシルエットの模索」、「旅」、「清らかさや前向きさが現れた衣服」は、今シーズン、僕が頭に浮かんだ言葉。
これらの言葉は、実のところ多義に及んでいるので、僕の伝えたいことが誤解されてしまう恐れがある。ファッションというのはそれだけ奥が深いということ。SHIFTのレポートでは、言葉の数と同じく、3部に分けて紹介する。どうか気長にお付き合いして頂きたい。
第1部「新しいシルエットの模索」
歴史を振り返ると、時代の節目には新しいファッションが台頭し、旧来とは異なった価値観と新たなシルエットをもたらしている。2010年代に、そのような革新的な出来事が起こるかどうかは分からないが、今シーズンでは、多くのブランドが新たなシルエットの在り方や、衣服と身体の関係を真摯に捉えているように思えた。
2012年SHIFTカレンダー、12のビジュアル作品が決定!10月20日より販売開始。
フレッシュなクリエイター発掘を目的に、SHIFTの企画で2003年より毎年行われている「SHIFTカレンダーコンペティション」。9回目を迎えた今年の応募総数は、世界30カ国から1,279作品が集まった。そして、今年もその数多くの応募作品の中から12作品をセレクトし、2012年の1年間の月日を刻むカレンダーとなって10月20日よりオンラインと世界各地のセレクトショップで販売開始予定。

「OUR MAGIC HOUR - 世界はどこまで知ることができるか?」
3年に一度の国際美術展・横浜トリエンナーレの第4回目が、8月6日(土)からいよいよ始まった。総合ディレクターとして逢坂恵理子氏(横浜美術館館長)、アーティスティック・ディレクターとして三木あき子氏という女性ふたりが、4回目にして初めて就任したということでも話題になっている。
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Carsten Nicolai, autoR,
2010 / 2011 (New Version). Installation view for Yokohama Triennale 2011
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Courtesy Galerie EIGEN+ART, Leipzig / Berlin and The Pace Gallery
Photo by Keizo
Kioku. Photo Cortesy of Organizing Committee for Yokohama Triennale
また、その中で、初めて横浜美術館が主会場のひとつとなった。またもうひとつの主会場は、前回も使用された日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)であり、非日常性や新鮮味の薄い既存のホワイトキューブ施設を使って、どれだけ国際展としての祝祭性が保てるのかが興味をひくところでもあった。
これまで横浜トリエンナーレは国際交流基金と横浜市、NHK、朝日新聞社が主催となっていたが、今回は事業仕分けのために、主催から国際交流基金が離脱し、横浜市が運営の主軸となった。その上での国際展としては苦肉の会場選択と言えるであろう。
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Ugo Rondinone, moonrise.east.march, 2005. Photo: Ellen Page Photography, New York
© Ugo Rondinone. Courtesy the artist and Galerie Eva Presenhuber, Zürich
特徴的なコレクション。強烈な個性を放つ個人美術館
ベルリンには現代アートを扱う美術館やギャラリー、そしてプライベート・コレクションが無数にある。しかし来場者が作品に心を奪われても、そのスペースに強烈に惹きつけられることは、それほど多くないのではないだろうか。ミー・コレクターズ・ルーム・ベルリンは好き嫌いが分かれるにせよ、強烈な存在感を放ち人々を惹きつける。なぜなら「あく」といえるほどの強烈な個性を持ち合わせているからだ。

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Thomas Olbricht © Schacht 2